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以下の文章は、私が高校2年生、合唱団の定期演奏会を前にして何の目的もなく古典の授業中に書いた、私たちが演奏する「地平線のかなたへ」によせたものである.

 


 

個人的に言うと、今私たちが過ごしている高校生活を〝青春〟とか〝希望に満ちたとき〟とかというのにはとても抵抗がある.友人に訊くと「青春を感じて幸せだ」とかいう答えが返ってきて不思議に思ったが、そこはそれぞれの感覚なんだろう.

『地平線のかなたへ』は、それこそ希望に満ちた青春を描いた曲集である.春心地の中で感じる青春、6月の梅雨の中休みに校庭で感じる青春、小難しい普遍的心理を考えようとする青春、ともに学び遊んだ仲間との別れという青春、身近にあらわれた死を通して今までの自分とこれからの自分について考える青春….たとえ悲しさを感じたとしてもうつむかず前を向いて歩こうとする希望に満ちた少年の姿―決して特定でないその少年に何を、誰を重ねるか決めるのはあなたである.―と、それをとりまく青春が描かれているのがこの曲集である.

木下牧子氏のねらい通り、この曲集は中高生にたいへんな人気がある.その理由は、そんな希望に満ちた青春を演奏を通して演じられるからであり、それを演じるのがそれもまた〝青春〟であるからなのだ、と私は考えた.譜面と歌詩は与えられていても、曲を練習してゆく中で、それぞれの思いを込めるのは私たちであるということができるのが『地平線のかなたへ』なのである.確かに、人生の大先輩である大人たちがこの曲集を歌っても、それは味がって美しい.しかし、この曲集を等身大に演じられるのは、紛れも無く「希望を持って青春を生きる」私たちなのであると思う.作詩は谷川俊太郎で、作曲は木下牧子であるのは当然の尊敬すべき事実なのだが、隠し味としての想いを添えているのは、今日ステージに乗る私たち合唱団なのだと思う.

by 18回目の夏は寒い山中湖でこの合唱団と過ごした学生指揮者

 

(4月20日 公開)

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